新学習指導要領に基づいて、中学生では2021年から金融リテラシーを高めるための授業が導入されています。また2022年4月以降は高校でも、新科目「公共」の中で基本的な経済の仕組みや金融について、「家庭科」の中ではさまざまな金融商品や資産形成について学ぶことが決まっています。
子どもがお金について授業で学ぶなんて知らなかった
子どもとの会話の中で、お金の話題が上ることも少ないようだからね
不確実性の高い現代において、金融や経済、資産形成について早くから学ぶことには大きな意味があるんだよ
そこで今回は、高校金融教育の必修化の背景や効果、現状の課題などについて解説します。
高校金融教育の必修化の意義とメリット
新学習指導要領の改定に伴い、2021年度から中学校から金融リテラシーを学ぶ時間が設けられました。中学生の間に、社会科や技術家庭の授業の中で、模擬起業活動や金融の働きなどを学びます。
同様に、2022年度から高校でも、家計管理やライフプランニング、お金を増やしたり借りたりする資産形成に関すること、金融トラブル、株式会社制度などを学んでいます。
この背景には、金融を通じて、社会の発展に貢献するという意識を高め、金融を活用できる力を早くから身につけさせたいという国の方針が挙げられます。そのため、高校金融教育では、授業時間の確保やアクティブラーニングの手法を取り入れた授業展開を目指しています。
現代は、グローバル化や少子化など、社会における不確実性が高まっています。
このような社会を生きていくために、子どもたちには自分の判断と責任において、さまざまな場面で決断していく力が求められているのです。
そしてそれは、日々の生活における金融という場面においても同じです。
多くの種類のある金融商品をどのように活用し、どうやってトラブルを回避するかを知っておく重要性が高まっています。特に、資産形成などの知識を正しく身につけることで、将来的に、経済的な自立を可能とし、よりよい生活を送るためには、金融リテラシーの向上は必須です。
社会の中で新しい価値を生み出し、イノベーションを行っていくためには、資金の提供や獲得が密接にかかわっています。柔軟なアイディアや発想があっても、それを実現するための方法や仕組みを知らなくては成功しません。もちろん、授業時間の不足や教員の知識不足、高校生という年齢において、金融と実生活の結びつきが薄い、という点など課題も多くみられます。
しかし、高校で金融教育を取り入れることは、さまざまな場面での意思決定能力や思考力を鍛えられる点に大きな特徴があります。早くから取り組むことで、子どもたちが経済の仕組みや資産形成などについて、意欲的に学ぶ姿勢を身につけさせることが大切です。
データから読み解く各家庭における金融教育に関する実態
高校金融教育は、上記のような目的で導入されていますが、松井証券株式会社の調査データによると、実際にその事実を知っていた親は25%にとどまっているのが現状です。
同様に、
- 将来かかるお金や資産形成について子どもと話したことがある親:36.0%
- お金のことを教えられる自信がないと回答した親は78.0%
と大半を占めています。
さらに、「とても自信がある」と回答したのは8.0%と、極めて少ないことがわかります。
しかし、『学校で学びたかったこと』を尋ねたところ、
- 第1位「お金関係」(71.0%)
- 第2位「仕事関係」(47.2%)
- 第3位「人間関係」(39.0%)
という結果になり、お金のことを学びたかったと思っている人が多いことも判明しました。
全体のうち78.3%が「金融知識を身に付けたい」と回答しています。
身に付けたいと感じたきっかけは、
「老後の生活に不安がある」「結婚してからお金がいるので」
といったライフスタイルのステージを意識している人が多く、
その他「コロナ禍により収入が減ったから」「身近に金融詐欺にあった人がいたから」という回答も見られます。
さらに、「子どもに正しい知識を教えたい」という回答があったことにも注目すべきです。
将来、子どもが経済的にも自立し豊かな生活が送れるように、子どもにも金融教育や資産形成に関する内容をしっかりと伝えたい、という思いの表れでしょう。そのため、親の義務として、金融リテラシーの重要性を感じている人が多いのが現状です。
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高校金融教育の必修化から見る大人の資産形成やライフプランの方法とは
このように、将来への不確実性の高さから、もっと早くから金融教育を受けていればよかったと感じている人たちが大勢います。
特に、資産形成や運用、年収などお金のことは友人などには気軽に相談しづらいテーマであり、誰にも話せない場合も多いのではないでしょうか。そのため、自分にもっとそういう知識があればよかった、早くから勉強しておけばよかったという意見も聞かれます。
また、家庭や学校を通して、子どもが自立できるように、自分で責任をもって決定していかなくてはならないことを学ばせるのも重要です。高校金融教育は、子どもたちが将来を生き抜くために欠かせません。当然、周囲の大人も金融や資産形成のことについて無知ではいられないのです。
自分のこと、そして子どもの将来のことを考えるのであれば、年齢を問わずしっかり学び、金融リテラシーを高めていかなくてはいけません。
資産形成は早くから行うことで、効果が出やすくなります。知りたい、やってみたい、と思った時、すぐに始められるように準備しておかなくてはいけません。
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高校金融教育の必修化を通して年齢を問わず早くから資産形成に対する意識を高めましょう
ここまで高校金融教育の必修化の背景や重要性、親の意識、金融や資産形成に対する取り組みなどについて解説してきました。
高校金融教育を必修化し、子どもたちに金融や経済の仕組みを学ばせることは、自分のことを自分で決められる、自立した大人への成長につながります。 もちろん、大人になってからでも金融教育を受け、資産形成について学ぶことは可能です。
しかし、早くやっておけばよかった、と後悔することなく、また、子どもがより豊かな人生を送るためのサポートができるように、大人が前向きに取り組まなくてはいけません。
そして、子どもと資産形成や金融について話し合う機会を増やしていきましょう。
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