人生100年時代といわれるようになり、老後の生活に対する不安を強く感じている人も多いのではないでしょうか。
もちろん、貯蓄をすることも大切ですが、リスクを低くしながら運用し、資産形成を行っていくことも重要です。
また、いま資産寿命という考え方も浸透してきています。資産を取り崩していくだけでなく、少しでも資産が尽きるまでの期間を長引かせて、安心して生活していけるような資産形成の方法を考えていかなくてはいけません。
そこで、資産寿命という考え方の基本と、人生100年時代における資産形成の重要性、そして資産を運用する上で必要な金融リテラシーの必要性について解説します。
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人生100年時代における高齢期に向けた資産形成
現代は、「人生100年時代」といわれており、平均寿命がのびています。
誰しもさまざまなタイミングで、どのような人生を送りたいかを考えますが、特に40~50代になると、高齢期に向かう自分のことを考える機会も多くあることでしょう。同時に、親世代、子供世代を支える時期でもあるため、長期的な視点に立って資産形成について考える時期とも重なります。
確実な見通しを立てにくい現代において、公的資金だけでは不安だ、退職金だけでは老後資金がまかなえない、と感じている人は大勢います。また、ライフスタイルの多様化と同時に、生活費や社会保険料などの上昇も生活に大きく影響してきます。そのため、豊かな老後を送るためには、貯蓄を取り崩すだけの生活では心許ないという人も少なくありません。
しかし、具体的に「何歳までに、どんなことをするか」「何歳までにどういう生活を送るか」などのライフプランを立てている人は全体の35%ほどしかいないというのが現状です。
実は、60%以上の人たちが、なにをどうするかという明確なプランを持っていないのです。
(出典:株式会社NTTデータ経営研究所「資産寿命の延伸に関する40~50代の意識・行動調査」)
一方で、さまざまなことに関心を持ち、生活に関連するテーマや情報などを多く入手している人たちは、より積極的に資産運用を行い、資産形成を行っています。つまり、早めから長期的な生活設計を立てることで、老後の生活への不安をなくす努力を行っている傾向にあるのです。
いまこそ考えるべき資産寿命とはなにか
いま、「資産寿命」という考え方が広まっています。
資産寿命とは、「老後の生活を営んでいくにあたって、これまで形成してきた資産が尽きるまでの期間」のことをいい、資産寿命をどのように延伸するかが注目されているのです。
金融庁 によると、退職後、無職の夫婦の生活では、平均して毎月5万円ほどの赤字になっているという結果が出ています。つまり、1年で60万円の貯蓄の取り崩しが必要となるため、老後の生活が20年続けば1,200万円、30年では1,800万円を取り崩さなくてはいけないのです。
(出典:金融庁 金融審議会「高齢社会における 資産形成・管理」p15)
しかし、それだけの貯蓄を退職するまでに形成するのは簡単ではありません。
そこで資産寿命の延伸が大きな効果を生み出します。資産寿命が長ければ長いほど、老後のお金への心配が減り、経済的な面での老後の生活に対する不安がおさえられるのです。
資産寿命の延伸について、「実施している」「今後実施したい」と考える人たちは、「日常の収支の把握」「定期預金や個人年金の積み立て」など比較的リスクの低い資産運用を行っている場合が多いという結果になっています。
(出典: 株式会社NTTデータ経営研究所「資産寿命の延伸に関する40~50代の意識・行動調査」p11)
一方で、「特に実施していることがない」にあたる「該当なし」という人は4割程度存在し、資産形成に関する関心が低いといわざるを得ません。実は、ライフプランの立案と資産寿命を延ばすための資産形成は密接に関連しています。
より明確なライフプランがあれば、それに向けて資産形成も前向きに行われる傾向にあり、同時に、将来への不安や情勢などに関心の高い人のほうが、資産運用を行っている割合が高くなっています。これからの人生において、経済的な不安を解消し、安心して暮らしていくためには、資産寿命をいかに伸ばしていくかが重要なのです。
資産寿命を延ばすための資産形成の方法
このような状況において、資産寿命を延ばすための資産形成の方法が問われています。
いちばんシンプルな方法は老後も働き続けることです。しかし、老後は収入が現役時代と比較して低くなる傾向にあり、適切な働き口が不足する可能性も出てきます。
また、働き続けたり、健やかな老後を過ごしたりするためには健康の維持も必要であり、資産寿命と健康寿命は同時に考えなくてはいけません。また、無駄な支出を抑えることも必要です。しかし、生活費や保険料などの固定費の削減には限界があります。
よって、長期的な視点で、積立や運用を行うことが重要です。
生活費を除いた余剰資金を資産運用にまわすことで、少しずつでも利益を確保できるしくみを構築しておけば、資産寿命を延ばすことができます。
たとえば、個人でできる資産運用としては、確定拠出年金などの利用や、NISAなどがあり、これらを利用することを、国も推進しています。
しかし、なにもわからないまま利用すると、かえって損することもあるため、まずは自分自身の金融リテラシーを高めなくてはいけません。運用のしくみや制度などを理解し、自分に合った制度を利用することが大切です。
人生100年時代を生き抜くためのお金の勉強の重要性
誰しも、将来的に社会保障がしっかり受けられるのか、公的年金と貯蓄だけで本当に大丈夫なのかなど、老後の生活に対する不安は尽きませんが、なにもしないままでは不安は解消されません。
そのため、お金のことを勉強し、資産寿命をのばすことを検討すべきですが、資産形成や資産寿命の延伸を行っている人は、まだまだ限定的です。
しかし、よりよい生活を送るためにも、家族を守るためにも、ライフプランの明確化と資産運用は欠かせません。それには、金融教育を受け、金融リテラシーを高めていくことが極めて重要です。加えて、自分自身の金融リテラシーが高まることで、自分が安心して働けるようになります。
実際、働くことに不安を覚えていない人はお金の教養度も高い人が多いです。
将来への不安を感じている人たちの中には、金融教育を受けていない人が大勢います。調査においても、「自分自身で考える」「家族と相談する」と回答した割合が高く、専門家に相談するという比率はまだまだ低いのが現状です。(出典:株式会社NTTデータ経営研究所「資産寿命の延伸に関する40~50代の意識・行動調査」p22)
また、ライフプランを検討するきっかけも、日常の会話の中などからの気づきが多く、専門家からアドバイスを受けたり、セミナー等へ参加したりしたという割合は低くなっています。(出典:株式会社NTTデータ経営研究所「資産寿命の延伸に関する40~50代の意識・行動調査」 p22)
自分や家族を守るためにも専門家のアドバイスを受けたり、セミナーへ参加したりと、
行動をおこしてみることをおすすめします。
まとめ
人生100年時代を有意義に過ごすために資産形成と資産寿命について考えましょう
老後の生活が長くなったことで、経済的な不安は尽きません。
しかし、資産形成を早いうちから行い、資産寿命を延ばすことで、多様化する老後の生活も有意義なものにすることができます。
「まずはできることから、始めてみる」これでいいのです。
その一歩が、未来にむけて安心をつくりだす大きな一歩となるでしょう。