会社員の副業が注目されています。
政府が推進する「働き方改革」を受けて、企業は雇用制度を柔軟に変更する動きが進み、会社員の副業を認める流れが加速しています。2020年の厚労省の調査によると、仕事を持つ人の約1割が副業をしているそうです。
今回は、会社員が副業をするときに気をつけることとして、お金のこと、社会保険と税金の面についてまとめました。
(※)参照:厚生労働省 副業・兼業に関する労働者調査結果 https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000660780.pdf
副業とは?
副業とは、収入を得るために本業以外の仕事をすることです。
副業といっても、その働き方や職種は本当に多岐にわたります。
就業時間後や休日に行うコンビニ、運送業などのアルバイト、他には個人の趣味特技を生かした手作りアクセサリーの販売やデザイン制作、webライティング、動画配信での広告収入や投げ銭を受け取るなど、今の副業スタイルはさまざまです。
副業のメリットには、本業以外に収入が増える以外に、興味のある分野へのチャレンジができる、人脈を構築する、スキルを上げるなどがあります。得たものを本業に生かすことで企業もまた得るものが多いだろうと思います。
一方で、副業による収入が増えることによって社会保険や税金面において変化する可能性があります。注意したいこととして2点取り上げます。
社会保険料が増えるかもしれない?
副業の種類によっては社会保険料が増えるかもしれません。 本業以外の企業でのパートやアルバイトが副業の場合、労働期間や月の労働時間、給与額などの条件によって副業先でも社会保険へ加入しなければいけません。
・常時501人以上が勤める企業
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金月額が8万8千円以上
などの労働条件が揃うと社会保険加入が必須となります。
ただし、2023年10月からは、週の所定労働時間が10時間以上の方も社会保険の加入対象となります。
本業の企業で加入している社会保険に二重で加入したくない場合は、副業先での働き方を調整しましょう。
副業で税金が発生する?
副業をすることによって本業以外の収入を得ることになります。これは嬉しいことですが、人が稼ぎ出す利益には税金が掛けられます。副業によって得る利益(所得)にも税金が課せられます。
課せられるのは「所得税」と「住民税」です。
会社員であれば、税金を納めていることに対して意識が薄い方も多いのかもしれません。会社が社員に代わって税金の計算をして納めてくれるからです。毎年11月ごろになると社内で年末調整の手続きが始まると思いますが、個人が加入している各種保険の所得控除などを行った上で税務署に提出されます。
企業に属していない個人事業主などは、毎年確定申告をして税金を納めています。
会社員は副業の税金をどう納めるか?確定申告とは
自分で収入と経費の計算をして所得を算出して納税額を税務署に申告するのが確定申告です。
会社員にとっては確定申告があまり身近ではないかもしれませんが、副業による所得が20万円以上になると、会社員も確定申告が必要です。
副業の所得が20万円以下なら確定申告は必要ありません。ただし、2カ所以上から給与を得ている場合、例えばアルバイト先から給与をもらっているなら確定申告が必要です。納税額が確定したら、所得税を納税します。住民税は少し遅れて6月ごろに支払います。
手続きが面倒だから確定申告をしたくない、というのは義務違反となります。
納税違反のペナルティとして、延滞税、加算税が課税されますが、悪質な脱税となると加算税は重くなり、本税に加えて40%も課税されることがあります。
副業20万円以下のときの注意!住民税の申告を忘れずに
副業による所得に対する所得税のために確定申告をしますが、確定申告をすると合わせて住民税の申告もできます。
所得が20万以下のときは確定申告が不要ですが、所得税の申告が不要なだけで住民税の申告は必要です。確定申告は税務署で手続きしますが、住民税は市区町村で、副業によって得た所得を申告して、住民税の額を確定させます。
副業の所得によって税金が変わる
副業の勤務形態や職種などによって所得の種類が変わります。
所得の種類によって、控除できる額など税額計算の方法が違うため、納税額が変わります。自分の副業で得た所得はどの所得に入るのか、確認しておきましょう。
パートやアルバイトは「給与所得」
単発で受ける執筆やセミナー講師は「雑所得」
個人事業として行うなら「事業所得」
投資で利益を得るなら「譲渡所得」
配当を得るなら「配当所得」になります。
最近人気のあるユーチューバーやライブ配信で投げ銭を収入にするライバーは「雑所得」
として確定申告します。
まとめ
企業が副業を認めるには、本業の業務に支障をきたさない、企業の情報を漏洩しないなどが前提です。本業で勤める企業にとって不利益があってはいけません。
会社員の副業は本業の企業に申告して承認を得た上で、企業の定めるルールに従って進めていきましょう。
どのような副業があるのかを知りたい場合は次の記事も参考にしてみてください。